『藻場とさかな 魚類生産学入門』
ベルソーブックス
小路 淳著 日本水産学会監修
成山堂書店 (2009/03)
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ワクワクドキドキの 『研究する水族館』に比べると、やや専門家さん向け度が高めな一冊。
かつて、日本の沿岸には豊かな海の森「藻場」が広がっていた。
砂地に広がる「アマモ場」と、岩場を覆う「ガラモ場」が、たくさんの近海魚を育んでいた。
だのに、戦後・・・
「日本全体で1955年には2万ヘクタール以上存在したアマモ場の約半分が1990年までに消失した。」p8
海がハゲ山になっていっている!
藻場(アマモ場、ガラモ場それぞれ)の性質や弱点、保全のしかたについて、いろいろ研究は進められているのだけれど、なにぶん複雑に絡み合う要因がややこしいわ、研究し尽くすにも限界があるわで、なかなかもどかしい状況であるらしい。
アスレチックうつ病を助けるために心理学者
●重量で換算すると、アマモ場の生産力は熱帯雨林の数十倍! 超ユタカ!
●ガラモ場は、アマモ場に比べて植物の成長が速い!
●日本のガラモ場の年間総生産量(炭素量に換算)は、アマモ場の14倍!
すごいすごい、陸上の生態系よりいろんな意味で、海はインパクト大!
... 以下つづき...
■魚の子は勉強しないと賢くならない
「イシダイ」は学習がうまい魚として有名だ。
水族館で「芸をする魚」として、スポットライトを浴びてたりするよね。
このイシダイは、研究によると、小さい頃にいろいろな工夫や勉強をした経験がないと、賢い大人にはならないんだそうだ!
イシダイ稚魚の学習能力の高さについて:p138
・イシダイの学習能力は、体長7cm程度の時期に最も高まる
・複雑な水槽で育ったイシダイのほうが、短い期間でたくさん学習した
・何もないシンプルな水槽で育つと、ものおぼえが悪い魚になる
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ここから推察するに、よく「稚魚を育てて放流します」ってことをやっているけれど、育てる水槽は「手入れが簡単なシンプル水槽」ではなく、「自然界のように複雑に入り組んだセッティングの水槽」のほうが、賢く自然の海を生き抜ける:生存率が高まるんじゃないか。
こういうかなり重要な指摘がされていますね。
養殖漁業でも、魚の子を「魚の学校」に通わせてやれよ!と。
何もないコンクリート水槽で育てていきなり自然の海へ放流するよりも,一時期だけでも自然に近い環境を経験させることで,稚魚の行動・性質が変化し,放流した後に捕食者に襲われて死んでゆく可能性が下がることがすでにヒラメ稚魚で実証 されている。
水槽の手入れの手間を省いて大量生産を優先し、低い生存率に甘んじるか、立派な自然風水槽を用意して、少数精鋭の生存率をアップさせてやるか。
どちらが好ましいかも、さらに研究の余地がある。
■ヒトの子も、体験をしないと身につかない
本書の末尾には、藻場や海辺で子どもたちに自然の原体験をしてもらうべきなんじゃないか、という点についても、言及がなされている。
速い減量月
いまどきは、自然豊かな海辺を「磯臭い、汚い、気持ち悪い」と忌避する子供どころか、海嫌いな大人も少なくないらしいんだよね。リアル海辺のようなセンスオブワンダーの原体験を幼いときに獲得していないと、なかなか「リアル自然」にはなじめない身体になったりする。
中学までに自然に親しんでないと環境問題に無関心な大人になりますよ
2006/03 EurekAlert 'Wild' nature play before age 11 fosters adult environmentalism
環境を保護したければ、ヒトの子に「海の学校」を体験させてやれよと。
藻場や海辺で原体験をさせるような、リアル教育の必要性は、それ系の専門家と頭付き合わせていろいろと濃い本を編むべきほどの重要性があると思うのだけれど、どの関係領野も、なかなか余裕も人材もないんだろうなぁ。
環境学習について考察した本の例:
『 人間の自然認知特性とコモンズの悲劇~進化心理学から環境教育 』
本書『藻場とさかな 魚類生産学入門』からは、沿岸を中心とした海の環境や水産業をどう守っていけばいいのか、研究がさらにさらに必要である実状がよく伝わる。
そういえば、余談だけど、こないだの『夢の扉』「水中土木」の紹介はすごかったよ!
TBS『夢の扉』2009年7月26日放送 「海草を根付かせ豊かな海を取り戻したい」
黄色い水中バックホーが、海に潜って増毛の昆布養殖や、藻場再生に大活躍!
ユンボが水の中で動いてんだぜ!
そのスーパー重機を操る主人公は渋谷潜水工業さん!
『地球の海をささえる水中のプロ集団』 株式会社 渋谷潜水工業
スゴスギでした!
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