2012年4月9日月曜日

真夏の夜の夢


「前にさ、口でして貰ったことあっただろ?」

何となく、ふざけた会話をしているなあと思う。

普段の朋也なら問答無用で呆れた顔をして、無視されるか、睨みつけられるかの二択だろう。

けれど今日は違う。

今日は、というか、今、少し、朋也の様子はおかしい。

それに自分も少しおかしくなっている気がする。

なぜかは分からないけれど、もし理由があるとすれば、それは恐らく―――この花の匂いだろう。

一体何の匂いなのか、嗅いだことのない香りだ。

化粧品の様な、薬品の様な、複雑な印象を受ける官能的な香り。

朋也の視点は定まっていない。

正気かどうかも怪しい所だ。

(熱で、おかしくなってるとかじゃ、ないよな)

具合が悪そうには見えない。

全裸でベッドの上にぺたんと座り込んだ朋也はいやらしいというより、どこか愛らしい。

陽介も裸になって、膝立ちの状態で朋也を正面から見下ろしていた。

視界には再び漲っている雄の様子もある。

「また、口でして欲しいんだけどさ」

「いいよ」

「けど今度は、俺が動こうと思って」

きょとんとしている朋也に苦笑いを浮かべる。

知識として、知らないという事はないだろうから、やはりどこかおかしいのだろう、便乗した事を後で卑怯と罵られるかもしれないが、その時はその時、朋也と試してみたい事はまだ山のようにある。

「とりあえず咥えて」

朋也は素直に陽介の局部を口腔に納める。

舌がヌルヌルと表面を擦り、唇の触れる感触と、内側の暖かさ、何より朋也が自分の一物を咥えている光景に、興奮が跳ね上がりそうになるが、陽介は心して昂りを押さえ込んだ。

「ちょっと、苦しいかもしんないけど」

そっと頭に手を添える。

「絶対、噛むなよ?」

コクンと頷いた朋也の頭をよしよしと撫でて、陽介はゆっくり腰を動かし始めた。

朋也の口の中に収められた先端が奥へと行き過ぎないように気をつけながら、唇の表面で擦られるたび、唾液の絡みついた男根が滑る。


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咥えている朋也もそれを懸命に受け止めようとして、舌で陽介の男根を舐めたり、口をもぐもぐと動かすものだから、その度に新たな刺激が加わって、堪らない興奮が噴出してくるようだ。

時々奥に入り過ぎて、えずいた朋也の口から抜けない程度に引き抜いて、またにゅぐにゅぐと押し込めると、溢れた唾液がアゴを伝って落ちる。

朋也がズッと唾液を啜って飲み込むたびに強く吸い付く感触に、口の奥まで男根を引き込まれて、陽介はたまらず呻き声を漏らした。

「朋也、そろそろイキそう、このまま出すから、全部飲んで」

ゴクリと喉を震わせて、頭を抑えている手に力を込めた。

スパートは多少荒っぽくなってしまうだろう、噛み付かれる前に決めるぞと、一気に腰を前後に揺すり始める。

「んぐ!ん、んぐっ、ん、んぐっ、んぐっ、んん!」

朋也が足にしがみ付いてきて、喉まで届きそうなほど穿ちこみながら、最後は一気に全部口の中に押し込むと性を注ぎ込んでやった。

「んぐ!?」

ギョッと目を剥いた朋也の口から慌ててまだ吐き出し続けている雄を引き抜く。

直後にゴホゴホと咽る顔や、髪に、青臭い体液をビュクビュクと吐き掛けて、律動の収集した男根が再び垂れ下がると、その手前でどうにか咳の納まった朋也が、精液まみれの顔を手で拭いながら、荒い息を繰り返していた。

「あーあー」

陽介は屈み込んで朋也を覗いた。

「ちゃんと飲んだか、吐いちゃっただろ、今」

「うん、ごめん」

「ったく、でもまあ、仕方ないか、苦しかったか?」

「うん」

「ゴメンな、お詫びに、もっかい可愛がってあげるから」

そう言って額に口付けると、顔を上げた朋也は陽介、と小さく呟いて、そっと凭れかかってきた。

「朋也、今日のお前、異様に可愛いんだけど」

「そう?」

「普段からこうだといいのになーって、ヘヘ」

「陽介は可愛い俺が好き?」

「そりゃまあ、可愛いか可愛くないかで言えば、可愛い方がいいんじゃないか?」

「女とこういうことするの好き?」

「んー、やりやすいっていうのはあるよな、それに、しっくりくる」

「女で可愛いわたしと、もっとエッチがしたい?」

「え?」


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スルリと腕が伸びてきて、引き寄せられてキスをする。

見詰め合うと、また唇をねだられて、少し苦味のある味に僅かに苦笑しながら、欲しがる朋也とキスを繰り返す。

そのまま、ゆっくり肌に触れて、再び愛撫を開始した。

柔らかな朋也の乳房。

見事なボリュームに揉み心地は抜群で、先端を嬲ると可愛い声がアンアン答える。

しっとり汗ばんだ肌は触れるだけで欲情を掻き立てられるようで、唇で吸い上げて、幾つも桜色を散らしてやった。

乳房に吸い付くと、堪らない吸い心地に、夢中で吸い続けてしまう。

しゃぶって涎をたっぷりまぶして、舌で舐めると、朋也が「もっとして」と甘えた声でねだるので、吸いながら手を下腹に伸ばして、ぬかるんだ部分を探り当てた。

熟れてぷっくりと膨らみ、柔らかく解れた水蜜桃。

起き上がって、開いた両足の付け根に顔を伏せると、桃の味をたっぷりと味わった。

ズルズル吸い上げれば朋也の体はビクビクと跳ねて、イヤイヤをしながら鳴く。

広げて、奥まで舌を突きこむと、やめて、やめてと頭を押さえられた。

「ようす、けっ、あ、はぁんっ、あ、だめ、そこ、舐めちゃ、ダメっ」

「けど、朋也のココ、すっごくおいしい」

「あ、だ、だめ、ガマン、出来なくなる」

「ダメダメ、頑張れぇ、じゃないとココに、もっとデカくてあっついの、入れてやんないぞ」

「やだあ!」

「じゃー頑張ろうな、こっちの穴もペロペロしちゃおう」

「やっ、そこは」

「散々使っただろ、今更気にするトコか、前はいっつもこっちで嵌めてたんだから」

蜜を滴らせる果肉の下の窄まりに舌先を差し込んで舐めると、朋也は更に嬌声を上げて身を仰け反らせた。

気の済むまで舐めて、唾液をたっぷり滴らせて、起き上がった陽介は朋也の上に乗り上げると、キスをして、抱きしめながら体の位置をごろりと転がって入れ替えた。

「さーて朋ちゃん、今日は、自分で入れてみよっか?」

「じ、ぶん、で?」

「そう、指でくぱぁって開いて、俺のを挿れるの、簡単だろ?」

「ん、わか、った」

「大丈夫だよ、朋也のココ、さっきのでもうグチョグチョだから、中も俺の形になっちゃってるし、すぐ入るって」


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朋也は、陽介の腹の上でゆっくり起き上がると、そのまま位置を移動して、一仕事終えてまだ休んだままの陽介の股間に手を触れた。

海綿体に充血しつつあるが、十分な硬さには至っていない。

それでも、先端を花弁に押し当てて、朋也は開いた腰を少しずつ落としながら、どうにか内側に陽介の男根を収めようと試み始めた。

初め、にゅるにゅる滑ってなかなか定まらず、どうにか亀頭をくぽんと内側に収められたと思ったら、今度はそれを奥へと進ませるのにまた一苦労している。

眼下で行なわれるいやらしい行為のおかげで、朋也が難儀している間に陽介の股間はみるみる力を取り戻していった。

最終的にはしっかりと屹立した性器の上に腰を落とすだけで全て内側に収まって、朋也はやっとひと心地ついた様子でフウと息を吐いた。

そのまま、陽介の腹に手をついて、濡れた瞳が見詰め返してくるので、今度は自分で動いてみろと促すと、朋也はユサユサと体を揺すり始めた。

「あっ、あ、あ、アン、あ、アッ」

根元まで収まった男根が果肉の中でクチュクチュと擦れる。

あふれ出した蜜が、根元にキスを繰り返す陰唇から零れだして滑り、やがて脇に両膝を付いて、体を上下に動かし始めると、今度は飛沫になって散り始めた。

「あっ、あっ、アンッ、あっ」

懸命に自分を欲しがっている様子が心底堪らない。

朋也は夢中で秘部の内側を陽介の性器に擦り付けている。

一方の陽介も、朋也の肉で擦られて、すっかりいきり立った男根が杭の様に奥を穿つ感触に呻いていた。

「ふ、かいぃぃ、ようすけ、これ、すごく、奥まで」

「ん、分かるよ、朋也、お前の奥、あたってる、このまま出したら赤ちゃんできちゃうかもな」

「ほ、んとお?んふっ、ん、んっ、よーすけの、赤ちゃんなら、欲し、いっ」

「なら、頑張らないと」

「頂戴、もっともっと、頂戴っ」

懸命に腰を揺すり続ける、朋也に腕を伸ばして、腰をつかんで起き上がると、そのまま今度は朋也を押し倒して、陽介は一気に突き出した。

「ひあああ!あ!あ!あ!!」

「やっぱ、こっちの方がくるな、お前に頑張ってもらうのも悪くないけど」

「よ、すけ、ダメ、ダメ、そんな、激しっ」

「ん、奥にいっぱい出したげるからっ」


「ようすけっ、んむ!」

「ん、ちゅ、ちゅぱ、朋也、ともや、んむ、ん、んんっ」

パンパンと肌のぶつかる音が響く。

濡れた音にまみれる。

部屋を満たす花の香り。

いつの間にか日は沈み、すっかり暗くなった屋内で、二人の睦み合う声ばかり聞える。

陽介は朋也を抱きしめたまま、目茶苦茶に腰を穿ち続けて、最後は奥まで、これ以上密着できないくらいに根元と滑る陰唇を重ね併せて、そのままどく、どくと、欲情を注ぎ込んだ。

吐き尽くしても引き抜かずに、そのまま、朋也を抱きしめて、ジッと目を閉じる。

トクトクと鼓動の音が伝わりあうのが分かる。

朋也は余韻でまだ少し震えていた。

そっと髪を撫でて、額に口付けると、陽介、と小さく呼ぶ声が聞こえた。

「朋也」

愛しい。

生涯最後の人かもしれない。

心底惚れて、惚れ抜いて、こうして抱き合っているだけで、この世の全てが素晴らしいと思える。

(好きだ、朋也)

再び唇で触れると、細い腕が縋るように抱きついてきた。

満ち足りているはずの胸中に、けれど何故か沸き起こる薄ぼんやりとした灰色の何かを、陽介は朋也の温度に顔を埋めて気付かないフリをした。

 

 

69できなかった、悔しい(笑



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