MMWR54(1):1−3
2002年、HIV疾患で死亡した75歳以下の非ラテンアメリカ系黒人の年齢調整損失生存可能年数(10万人あたり)は非ラテンアメリカ系白人の約11倍であった。非ラテンアメリカ系黒人は殺人(9倍)、脳卒中(3倍)、周産期疾患(3倍)、糖尿病(3倍)による損失生存可能年数も非ラテンアメリカ系白人に比べかなり高かった。癌は非ラテンアメリカ系黒人・白人とも死因の第2位であるが、2001年の黒人女性の年齢調整発生率(10万人あたり)は白人女性に比べ結腸/直腸癌(54.0対43.3)、膵臓癌(13.0対8.9)、胃癌(9.0対4.5)で高く、黒人男性では白人男性に比べ前立腺癌(251.3対167.8)、肺/気管支癌(108.2対72.8)、結腸/直腸癌(68.3対58.9)、胃癌(16.3対10.0)の発生率が高かった。脳卒中は非ラテンアメリカ系黒人・白人とも死因の第3位であるが、1999―2002年、20―74歳の非ラテンアメリ� �系黒人は男女とも高血圧症の年齢調整発生率(10万人あたり)が白人に比べ高かった(男性:36.8対23.9、女性:39.4対23.3)。2010年国民健康目標の達成に向けた進展度の主要指標にも人種/民族間の健康格差はみられる。2002年、非ラテンアメリカ系黒人は少なくとも4つの健康良好指標[65歳未満の健康保険加入率(81%対87%)、65歳以下のワクチン接種率(インフルエンザ:50%対69%、肺炎球菌疾患:37%対60%)、第1トリメスターにおける出産前管理受検診受診率(75%対89%)、18歳以上の中等度身体活動への定期的参加率(25%対35%)]で非ラテンアメリカ系白人に遅れをとっていた。さらに、非ラテンアメリカ系黒人において一部の健康不良指標の割合がかなり高かった[淋病の新規発症率(10万人あたり742対31:2002年データ)、殺人による死亡率(21.6対2.8:2002年データ)、6―19歳� �人々における太りぎみ、または肥満率(22%対12%:2000年データ)、成人の肥満率(40%対29%:2000年データ)]。1970年代以降、麻疹患者数と麻疹ワクチン接種率における人種/民族格差はほぼなくなった。しかし1996―2001年、ジフテリア・破傷風・百日咳、ポリオ、麻疹、Haemophilus influenzaeb型疾患、B型肝炎予防のために推奨されている4:3:1:3:3ワクチンシリーズ接種率の非ラテンアメリカ系白人と非ラテンアメリカ系黒人とのギャップは、19―35ヶ月齢の小児で毎年平均1.1%広がっており、2002年、19―35ヶ月齢の小児における完全ワクチン接種率は非ラテンアメリカ系黒人が68%、非ラテンアメリカ系白人が78%であった。
このような格差をなくすためには、文化的に適切な公衆衛生戦略、地域社会の支援、質の高い健康管理の公平な利用が必要であろう。