CQ出版社
理解しながら作るヘッドホン・アンプ
FET Differential Headphone Amplifier CQ Version / 2010年4月30日発売
■サポート情報・・・Webサイト
オーディオ自作ヘルプ掲示板・・・ http://8604.teacup.com/very_first_tube_amp/bbs (困ったらここで質問すれば、同じ経験をした人やベテラン諸氏がアドバイスしてくれる)
オーディオなんでもありの掲示板・・・ http://6403.teacup.com/teddy/bbs (疲れたらこちらで雑談をどうぞ)本機のベースとなったFET差動ヘッドホンアンプのページ・・・ http://www.op316.com/tubes/hpa/index.htm
筆者のサイトのトップページ・・・ http://www.op316.com/
■最新情報・・・スピーカーを鳴らすための改造
以前から、このヘッドホンアンプの出力をいきなりスピーカーにつないだら結構いい音で鳴るので、そういう改造法はないのか、という問い合わせが多数ありました。やっと実験ができましたので以下にレポートします。
■サポート情報・・・正誤表
付属基板:切り離し可能なAC電源部のTr17のシルク印刷の表記がわかりにくく、トランジスタをどちら向きに取り付けたらいいかパターンを読まないとわかりません。
ZD1に近いほうが「B」、遠い方が「E」です。
2SC3421を取り付ける場合は、印字面が向こうになるように、印字されていない面が手前になるようにします。
パワートランジスタによっては向きが逆になりますので、2SC3421以外のトランジスタを使う場合は、必ずデータシートで接続を確認してください。
21ページ、図2-8、入力側コンデンサ:誤: 33μF 50V
正: 3.3μF 50V
22ページ、7行目:誤: 34kΩ
正: 43kΩ
26ページ、図2-12:1000μFと1000μFの間
誤: 10kΩ
正: 10Ω1000μFと1000μFの間
誤: 1
正: 1kΩ右端
誤: 2
正: 2.2Ω
31、32ページ、写真2-7:誤: (右側10kHz、左側100kHz)
正: (右側100kHz、左側10kHz)
36ページ、図3-1:「アンプの全回路図」であるはずのところが「基板部分の回路図」になっています。
以下に手元にある原稿をスキャンしたものを掲示します。
画像をクリックすると拡大し、画像上で右クリックすると「名前をつけて画像を保存」できます。
57ページ、式(4):誤: I(A)=√P(W)×R(Ω)
正: I(A)=√P(W)÷R(Ω)
59ページ、コラム9行目:誤: 電圧の平均が1V
正: (正確な表現ではありません。しかし、これをひとことで言い表すのは難しい・・・)
62ページ、13行目:誤: 特定した
正: 測定した
82ページ、図3-48:誤: 4.7Ω
正: 4.7kΩ
106ページ、表5-1:誤: 項番27、160Ω
正: 項番27、510Ω
113ページ、本文5行目:誤: こちらのタイプの推奨します
正: こちらのタイプを推奨します
115ページ、写真5-16:誤: 右の二つが
正: 右側が
■サポート情報・・・詳細画像
書籍の画像はモノクロですし、サイズが小さいので詳細なところまでよく見えないことがあります。下の画像をクリックすると拡大しますので、製作時の参考にしてください。特にボリュームまわりの配線は慣れないとわかりにくく、初心者にとっては鬼門のひとつです。この配線を間違えると、音量がちっとも変化しなかったり音が出なかったりします。本文111ページの図や解説と下の画像の両方を見ていただけばなんとかわかると思います。写真2-1 写真2-2 写真2-6 補足写真1
写真3-1 写真3-10
どのくらいの式
■サポート情報・・・プリント基板の追加頒布 (2012年現在も頒布しています)
<プリント基板の追加頒布の趣旨(重要)>プリント基板は本書に付属で1枚ついています。しかし、破損してしまったり、失敗してしまったりいろいろなことがあると思います。1台作ったら息子に取られてしまった、という方もいらっしゃるかもしれません。そこで、「本書を1冊購入された方について1回1枚に限り」当サイトより追加頒布することについてCQ出版社側の了解を得ました。本追加頒布は出版社側のご厚意にもとづいています。本書を購入していない方には頒布しないという約束ですので、図書館などで借りた場合はダメです。
プリント基板の追加頒布に関わる諸手続きは著者である私の責任において実施するものですので、CQ出版社は窓口を持ちません。くれぐれもCQ出版社宛に問い合わせなどなさらないようにお願いいたします。問い合わせ窓口は本HomePageだけです。また、このプリント基板に関する諸権利はCQ出版社の下にあります。上記の趣旨にもとづいて追加頒布が可能になったものであり、出版の権利を侵すような行為あるいは疑義を生じる行為はしないようにしてください。
<プリント基板の入手方法>(1)申し込みメール
本書を購入し所有されていることの確認証明のために、ご面倒でも「お手元にある付属プリント基板」が写っているデジタル画像をメールに添付してお送りください。メールの宛先は"teddです。CQ出版社にメールを送っても対応はできません。メールへの記載事項は以下のとおりです。メールタイトル: 「CQヘッドホンアンプ基板希望」(2)ご連絡およびプリント基板の発送
お名前:
郵便番号:
送付先ご住所:
電話番号:
添付画像: 「お手元にある付属プリント基板」撮影したデジタル画像
申し込み内容および確認画像がすべて揃っている場合は、速やかに定型外郵便で発送します(発送可能になるのは5月中旬の見込み)。その際に、費用の振込先等必要な情報をお知らせします。但し、当方も常時メール返信&発送できる態勢にあるわけではありませんので、1週間程度の猶予を見込んでください。また、メールがうまく送れない時などの連絡用として「自作ヘルプ掲示板」を使用します。(3)費用
頒布費用は梱包・送料込みで900円です。
費用の支払い方法は銀行振り込みのみで代引きはありません。
但し、近所に金融機関がないなどの事情がある場合は同額の切手に代えることができますのでその際はご一報ください。(3)紳士協定
本ルールに違反して複数枚のプリント基板を入手することは不可能ではありませんがそのような行為は誰も望んではいません。各位の節度ある態度を期待いたします。
■サポート情報・・・部品の入手法
本書104ページに部品を扱っている主な店舗(秋葉原)および通販サイトをリストにしてあります。秋葉原の店舗には、たくさんの部品店ががありますがその中でも探しやすく価格的にもリーズナブルな店を選んであります。関東在住の方の場合は、機会があれば是非秋葉原に足を運んでみてほしいのですが、慣れていないと1日ですべての部品を買い集めるのは結構難しいという問題があります。街を歩いているとメイド嬢のお誘いがあったりして、買い物どころではなくなってしまう方もいらっしゃるでしょう。
<部品頒布の趣旨>秋葉原に行ってみたが迷ってしまって目的が果たせなかった、秋葉原から遠く近所に店がない、海外に住んでいる、通販だと実物を確認できなくて不安、10個単位でないと売ってもらえなかったりする、送料が高いなど部品調達障壁が高いのも事実です。当サイトでは、そういった方を対象に部品の種類を限定してはいますが頒布しています。本書掲載のヘッドホンアンプに関しても、ケースや電源トランスなどを除いた小物部品について従来と同様の頒布をいたします。
・部品サポートサイト: ・・・・「CQ版 差動ヘッドホン・アンプ半導体セット&オプション」および「いろいろな部品」のところです。
<依頼フォーム>いちいちリストを書くのは面倒だと思いますので、こちらの「フォーム」をコピペして必要に応じて削除するなり編集して使ってください。
なお、「○○で使用する部品全部」みたいな書き方はごかんべんください。部品リスト作りも自作に含まれます。
ピル後の朝は何ですか
<その他部品>
●ケース:
・タカチ HEN110320 (W=111.2mm、H=32.5mm、D=200mm) ・・・本書で使用したもの(画像右側)。ツマミはL18S。
・タカチ HEN110420 (W=111.2mm、H=43.6mm、D=200mm) ・・・やや背が高いもの(画像左側)。ツマミはL26S。
・4章で使ったアルミケースは奥澤オリジナル O-6 (W=400mm、H=40mm、D=200mm) ・・・1,417円(2010.5現在)。
・同1Uパネル 1US (W=482.6mm、H=44mm) ・・・683円(2010.5現在)。
・同底板 A42-1.5 (W=400mm、H=200mm、厚さ=1.5t) ・・・609円(2010.5現在)。
本書104ページ記載のケースを扱っている秋葉原の各店(奥澤やエスエス無線)で購入できます。たとえば、奥澤の場合ですと、Webページの案内に沿って電話かFAXしてメーカー名、型番、送付先を伝えるだけです。代引きだと店側の入金確認がないので早いです。エスエス無線は代引き扱いがないことを除けば注文方法は基本的に奥澤と同じです。両店ともに店頭在庫を持つように頼んでありますので、運が悪くなければその場で入手できます。
●ACアダプタ:
本書では、秋月電子通商で扱っている「12V/1Aタイプ」および「15V/0.8Aタイプ」を使いました。
2010.5.1現在、在庫切れのようです。150円増しですが同じ形状で100V〜240Vというのがあり、これが使えます。
秋月電子通商の12V/1Aタイプと同じものがマルツパーツ館でも売られていますが、値段がちょっと・・・。
■この本の背景とねらい
平ラグで作ると、ベテランはスマートにきれいに仕上げるのに、配線に慣れていない人が作ると何故かはなはだしいパスタになってしまうのは何故なんだろう。製品メーカーにとっては生産性向上&コストダウンのためのプリント基板ですが、自作アンプビルダーにとってはパスタ状態からの脱出・・・それがプリント基板なのか・・・な。「平ラグにこだわらないでいっそのことプリント基板版を作ってしまおうか」という私の考えと、「プリント基板シリーズで何かおもしろいネタはないかしらん」という出版社の思惑が合体して本書が生まれました、というのはすべての事実を正確に表してはいませんが、そういう背景も何十パーセントかはあったと思います。いずれにしても、多くの関係者のご協力もあってようやく本書が出版のはこびとなりました。企画から出版までまる2年かかっております。長かったです。実験回路、試作基板、試作機をいくつもつくり、多くのデータを取りながらの作業でありました。基本回路はすでに発表済みのものとほとんど同じですが、この間、さまざまな事実の発見や新たなる気づきがありました。常に斬新な回路を叩き出せるほど私の頭は優秀ではありません。本書における取り組みは、かつて、直感的に作られた「FET差動ヘッドホンアンプ」の再発見の場となったように思います。このごくシンプルなひとつのディスクリート回路について、自分なりに「理解したこと」を一冊の本にまとめたといってよろしいかと思います。
書名につけられた「理解しながら作る」という言葉には、『私自身が』を冠するのが正しいのですが、「それでは書名になりません」ということなのであえて省略しております。当掲示板でも「あの書名は著者のアイロニーではないか」という声もあるようです。私の普段の言動をご存知の方ならば「なんだ、いつも言ってることじゃないか」と驚きもしないと思いますが、はじめてこれを目にした方は「ムカツク奴」と思われたかも。アイロニーというものは常に自己にも向けられるべきものだと思います。私は私自身に向け、読者のみなさんはみなさん自身に向けた言葉として飲み込んでいただけたらこの本を書いた甲斐があったと思います。
どのように私は薬物検査のための私のシステムをフラッシュしますか?
■コンテンツ
もくじとはちょっと違います。何が書いてあるかの説明です。
- 第1章 ヘッドホン・アンプを作ろう
- ヘッドホン・アンプに必要な機能・性能について・・・インピーダンスの考え方、利得のめやす、最大出力のめやす、雑音性能など
- パワーアンプを流用してヘッドホンを鳴らす方法など
- 第2章 OPアンプを使ったヘッドホン・アンプ
- OPアンプの入門基礎知識と使用上の注意・・・入力側のバイアス電流のこと、負荷駆動力の制約のこと、無条件に差し替えできないことなど
- OPアンプ一発のはなはだ基本的なヘッドホン・アンプの回路と製作例
- 抵抗分圧型±電源の注意事項など・・・何故プラスとマイナスの電圧が狂ってしまうのか、電源コンデンサの役割など
- ユニバーサル基板のパターン例と基板と部品間の結線ガイド
- 入手容易な8種類のOPアンプ(NJM2114、NJM4558、NJM4556、NJM4580、NJM5532、OPA2134、OPA2604、LME49860)の実測特性データ)
- 第3章 FET差動ヘッドホン・アンプ(付属基板)
- 全体構成および付属プリント基板の説明
- 2SK170を使った実験増幅回路の計算データおよび実測データ
- 6種類の定電流回路の実験データ
- ヘッドホン駆動のための基礎知識・・・駆動電流と信号電圧とパワーの関係、出力段の設計ガイド
- SEPP-OTL回路とダイヤモンドバッファ回路の実験データ、ダイヤモンドバッファのバイアスしくみ、熱暴走問題について
- 本機の±電源のしくみついて
- アースの設計と配線法、ノイズを出さないための諸注意事項
- 製作手順、基板と部品間の結線ガイド
- テストの方法、初段DCバランスおよび利得調整の方法、実測データ
- トラブルシューティング・ガイド、インターネット・ヘルプの上手な使い方
- 第4章 100V版ヘッドホン・アンプ兼ライン・プリアンプ(付属基板)
- 全体構成およびSW付ヘッドホン・ジャックまわりの結線図
- AC100V電源の説明(付属基板に内臓されている)
- 製作ガイド、実測データ
- 第5章 部品の知識、使い方など
- 秋葉原部品店ガイド、通販店ガイド
- 全部品リスト(第3章、第4章のアンプ)
- 個別部品の選び方、使い方、代替部品ガイド、ボリュームのつなぎ方など
- 第6章 工具の知識、使い方など
- 主に私が便利に使っているお役立ち工具について詳しく解説しているので工具選びのヒントにしていただければ・・・
- Q&A
■Making of 「理解しながら作るヘッドホンアンプ」 ・・・・・ 本に書いていないことなど
<きっかけ、コンセプトなど>当初は、初心者向けの簡単な本をプリント基板付で、というくらいのお話でした。しかし、出版社側としては初心者の理解に役立つようなコンテンツを提供したい、という思いがあるようで、私も同じ気持ちがありました。そこで、回路を部分にバラしてそれぞれがどんな性質であるかを実測検証しよう、ということになりました。
たとえば初段についていえば、差動でない2SK170×1個ではどうか、それに負帰還をかけたらどうなるか、さらに差動にしたらどうなるのか・・・概念的には理解してはいましたが、頭の中での設計と実回路とでは同じ結果になるのだろうか、ということも検証したくなりました。出力段も、シンプルな2石SEPPだとどうなのか、ダイヤモンドバッファに拡張したらどうなのか、電源電圧を変えたらどうなるのか、負荷インピーダンスを変えたら・・・という風にいろいろと知りたいことが増えたので、いろいろと実験をしています。定電流回路については、異なる6種類の方式を実際に製作し精密に測定検証しています。
OPアンプを使った最も基本的な構成のヘッドホンアンプの実験製作も行うことにしました。自作ヘッドホンアンプを語る時、OPアンプ1個構成の検討は避けることはできないと思ったからです。いい機会なので、入手容易な8種類のOPアンプについて、簡単ながら実測データを取りました。
そんなことを延々とやっていたために2年もかかってしまいました。その結果、本書は「完成された回路と作り方がわかれば十分」という方にとってはおそらく無用な記述が半分ほども占めることになりました。しかし、「回路の仕組みについてもある程度深く理解したい」、「関連知識も得たい」という方にとっては、それなりにネタが詰まった本にできたと思います。
<本回路の特殊性>
一般にオーディオ増幅回路は「2段増幅」をひとつの基本単位としています。その理由は、設計がしやすい、融通がきく、スペックを得るのが容易などの現実的な事情から歴史的にそうなってきたんだと思います。半導体式の2段増幅回路は1960年代から1970年代にかけて著しい変化を遂げ、反転型のDCサーボからやがて差動回路を使った今風のDC帰還に変化します。現在のOPアンプはその延長線上にあります。本書で取り扱っているヘッドホンアンプの基本回路は、その歴史的セオリーに反してただの「1段増幅」であり、構成ははなはだ異端的でもあります。元はごくオーソドックスな2段増幅回路で構想していて、余分だと思われるものを潔くそぎ落としていった結果、このような構造の「1段増幅」になっていったというのが真相です� �私自身、当初は「1段」構成というと負帰還付の反転増幅器くらいしか思い浮かばず、非反転かつ一人前にAC負帰還がかけられるなどとは思ってもみませんでした。
オーディオ機器の歴史をみると、「1段増幅」でまとまりを持った増幅ユニットを構成した例はとても多いのですが・・・ALTECの業務用マイクアンプ、Quad 22のPHONOイコライザ、Quad 33のトンコントロール付ラインアンプ、BAX型トーンコントロール回路、LUXのSQ38FDプリメインアンプのラインアンプ部やトーンコントロール部、一時流行したJFET×1本によるMCカートリッジ用ヘッドアンプ等々・・・今日まで現役で生き残っている回路はほとんどありません。それゆえに、本機の回路あるいは類似した考え方の回路を他の製作例やメーカー製品でみつけることは困難である、というのが現実です。
私が「1段増幅」をベースとしたオーディオアンプがある種独特の魅力を持っていることに薄々気づいたのは20年くらい前のことです。2段増幅なら容易にいろいろなことができるのに、1段増幅ではさまざまな制約にはばまれてはなはだ扱いにくいため嫌われてきたように思います。そしてついに電子回路の教科書からもほとんど忘れられてしまったようです。世の中には1つくらいは、そういった流れに逆らった回路が生きていてもいいのではないかと思うのです。
もっとも、本回路が変わっているのは全体構成に関してだけで、その部分を構成する差動回路も定電流回路もダイヤモンドバッファ回路も、どの部分をとってみてもいまどきのごく普通の回路方式にすぎません。しいていうならば、増幅器としてはオープンループゲインが低いこと、そのために負帰還量を稼ぐことができないこと、その結果として最低歪み率も高めであることがいえます。帯域特性はJFETの内部容量の影響を受けるためにさほど広くなく、せいぜい1MHzどまりですがオーディオアンプとしては申し分ない値でしょう。むしろ減衰特性が素直であるために、帯域の安定度と方形波応答のきれいさはいかなるOPアンプにも見劣りしないでしょう。残留雑音は10μV強ですから全く申し分ない値です。
<実験装置>
左画像は本書を書くための実験で使用した簡易実験装置です。この中に実験回路を設置してさまざまな実験を行い測定しました。そのため、任意のラグ板が取り付けられる穴や測定用の入出力のために複数のBNC端子を持っています。画像では、左半分が実験回路で右半分が電源です。実験回路も電源も取り外し可能にしてあります。画像では、実験回路側には、2トランジスタ構成のもっとも基本的なSEPP回路の部分と、本製作で使用したダイヤモンド・バッファ部分が取り付けられています。
右画像は、上が2SK170単体の増幅実験回路と差動増幅実験回路を組み込んだらラグ板で、下は定電流実験回路を組み込んだらラグ板です。定電流実験回路はCRD×1本のシンプルなものからカレントミラーまで6パターンあり、これらを精密測定して比較データを取りました。定電流回路は、十分な動作電圧を与えてやるとその特性にはほとんど差が無く、音にもほとんど影響がないということがわかりました。
<OPアンプ1発型ヘッドホンアンプ>
実験で使用したOPアンプ(下画像)は、すべてどなたでも日本中どこからでも購入可能なものばかりで、秋月電子通商または千石電商で購入しました。安いものでは8個200円、最も高いもので1個600円程度です(2010.4現在)。これを右下のアンプに組み込んで実験&測定を行っています。ごく簡単な実験しかできませんでしたが、OPアンプごとの歪み方の違いや、1MHz以上の高周波帯域での様子、それによって生じる方形波の特徴などをみることができました。物理特性のよしあしと出てくきた音のよしあしには明確な相関はありませんでした。
本章で製作した回路に特異な側面はありません。私がデュアルタイプのOPアンプ1発で簡単なヘッドホンアンプを作るとしたらどんな回路になるか、という興味で製作したというのが正しいかもしれません。回路には設計者の個性が色濃く出るものなので、似たようでいて抵抗やコンデンサの配置も値の取り方もこれまで見たどのOPアンプ1発型ヘッドホンアンプとも微妙に違っているのが面白いと思っています。
<ディスクリート試作機とプリント基板>
下の画像は試作基板を作製し実験を行っているところです。しかし、アースパターンの追い込みが不十分でわずかながら共通インピーダンスが出ていることが左右チャネル間クロストークを測定していて発覚し、基板の作り直しになりました。中央の画像は、問題をかかえた試作基板のアースパターンと並行して銅線を張り共有インピーダンスを下げる実験を行っているところです。悪いとはいっても80dBを得ているので実用上は十分な値でしたが、共通インピーダンスが存在することは明白なので追い込みをしたところ、左右ともに95dB以上を得ました。残留ノイズが低くなかったら発覚しなかったでしょう。また、ランドが小さかったためプロの作業者ならば問題ないですが、初心者がハンダ付けするにはちょっと難しそうなので、ラン� �の大きさも見直しました。プリント基板は、ちょっとした修正・改善をするにも時間と手間とお金がかかるので、理想の基板までもっていくのが大変です。
このプリント基板の集積度が低いのは、初心者でも無理なく作業できるようにするためにタカチのアルミケースの幅一杯までスペースに余裕を取ったためです。みなさんが使用する抵抗器の大きさもまちまちだと思いますし、アルミ電解コンデンサの大きさも一定ではないでしょう。本文には書いていませんが、出力段トランジスタには小さな放熱板を取り付けるくらいのスペースはありますので、動作条件を変えるような実験も可能です。
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